【オランダの学校】先生がめっちゃ働きやすいはずの職場で教師不足?

オランダ生活
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皆さまこんにちは!いつも応援ありがとうございます。オランダの大学院に社会人留学、その後現地で就職→そして日本に転職したChisakiです。

さて、日本とオランダ(インター校)の両方の学校で働いた経験+人から聞いたお話をベースに色々なところで繰り返し言っていますが、基本的にオランダの学校は日本と比べて先生にとって圧倒的に働きやすい環境が整っているように思えます。

理由としては、

  • 先生が生徒のプライベートまで深く指導に関わることがない。
  • 教材を自分で作らない。すでに出来上がっているものを上手く使うことで時間削減。
  • 部活動がない。やるとしても毎日ではないし、指導する先生はその分の報酬をもらって自分の意思でやっている。
  • 分業が徹底している。例えば日本のように一人の先生が授業もして入学受付もしてITの業務もして、というようなことが極めて少ない。
  • (病気などで急に)休んだ先生をカバーするための専用の先生がいる。日本だったらただでさえ忙しい先生同士で休んだ人の授業をカバー。

パッと思いつくのはこんな感じでしょうか。これだけでも自分が日本の高校で教えていた時の実情と比べるとかなり働きやすそうなものです。

ですが、そんな日本と比べてパラダイス(それは言い過ぎか?)のようなオランダの先生業界が、今、たいへんなことになっています。

それがこちら。オランダで夏休みが明ける8月末に出た、「9人に1人の子どもが先生なしで新学期を迎える」(Dutch Newsより)という記事です。

私が2019年〜オランダに住んでいた頃から教師不足のニュースを耳にすることはあったのですが、最近さらに深刻化している印象があります。この現状に対して各学校では、複数クラスを組み合わせて一つのクラスにしたり、資格のない先生でも雇ったり、週4日制を導入したりといった工夫をしているようです。

こんなに働きやすそうな環境なのに、先生になりたい人がいない…なぜ?

まぁ、私の視点から見て「働きやすそう」なのはあくまでも「日本と比べて」働きやすそうなだけで、オランダにはオランダの事情があるんですよね。

実際、Dutch Newsの記事によると、オランダの学校で埋まらないままになっている先生のポジションの数は9700にもなるとのことです。この数字がどれくらいの規模感なのか分かりにくいですが…オランダ全土の学校のうち半数が、最大6人の先生が足りないまま新学期を迎える、と書いてある記事もあります。

その原因は何なのでしょうか?

オランダの現地校で先生としてお仕事されている方に質問できる機会があったので聞いてみたところ、主に2つ理由があるのではとのことでした。

一つは待遇です。先生たちの報酬が他の職業に比べて低いため、もっと良い待遇を求めて他の仕事に移る人も多いとのこと。オランダは世界の中でも給与水準が高いこともあり、先生よりも稼げる仕事が身近にたくさんあることが想像できます。やはりどこの国でも先生の仕事は「やりがい搾取」的な目に遭っているのでしょうか。

二つ目は、フレキシブルな働き方がしにくいから。前回の「生活しやすい国ランキング」でも書いた通り、オランダではフレキシブルな働き方(リモートワークが浸透していたり、出勤退勤の時間がフレキシブルにできたり)がかなり進んでいます。そんな中で、先生として学校で働くとなるとやはり毎日時間通りに学校へ行って一日みっちり生徒と一緒に過ごして夕方に帰るといった働き方になるので、フレキシブルな働き方をする周りの人を見て羨ましくなるのかもしれませんね。

他にも、ネットで検索してみると「仕事量が多い」「仕事のプレッシャーが強い」「教師の自主性が重んじられない」などの点が教師不足の理由として上がっています。

このような教師不足の現状を改善するためにオランダ政府も賃上げをしたり、フレキシブルな働き方(例えばパートタイムで週3日だけでも良い、など)を認めたりと手を打っているようです。日本ではオランダ教育の良い面ばかりが注目されてメディアで取り上げられている印象がありますが…先生がハッピーじゃないと教育のクオリティも維持できないですよね。オランダ学校界の今後に注目です。

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