バービーの映画を観てみた -Patriarchyって言いすぎな件-

雑談
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皆さまこんにちは!いつも応援ありがとうございます。オランダの大学院に社会人留学、その後現地で就職→そして日本に転職したChisakiです。

先日、何かと話題になっている映画、”Barbie”を観てきました。思ったことを書きたいと思います。まだ見ていなくて内容をspoilされたくない方はご注意ください。

※サクッとまとめたかったのにめっちゃ長くなってしまいました…

共感できなかったこと:

ターゲットが不明

この映画を観にいく人には大きく分けて2つのタイプの人がいると思います。ひとつはバービーの世界観自体を楽しみたい人、もうひとつはバービーを通して社会的なトピックがどう描かれるのかに興味がある人。私は後者の方でしたが、どちらのタイプの人にとっても物足りなさを感じるんじゃないかと思う内容でした。バービーの世界観を楽しむにはちょっとPatriarchy (男社会・家父長制)とか社会的な言葉が出てきすぎ、それにコメディー的な部分もそこまで面白くない。かと言って、女性の地位向上とか多様性の尊重とかの描き方も中途半端。なんか、出だしからめっちゃ辛辣ですみません(汗)

“多様性”がテーマのはずなのに

なぜ、女性の地位や多様性の描き方が中途半端と思ったかというと、結局最後まで「男VS女」の構図が変わらないからです。

映画の前半で「理想の世界」として描かれるバービーランドは、大統領は女性、医者も女性、最高裁の裁判官も女性。女性たちがみんなやりたいことをやって能力を発揮してイキイキと生活している世界です。後半、その世界に人間界のリアルな「男社会」が広まっていって、女性はいわゆる「男たちの添え物」(可愛い格好をして男たちにビールをサーブする係、とか)として生きる羽目になります。

最終的には女性たちが「男社会」を追い出し、また元のようにそれぞれの職業に就いて自立した生活を送るようになるのですが、その「理想の世界」は映画の最初から最後まで、女性はイキイキして男性は肩身の狭い思いをする世界として描かれているんです。それって結局、男社会で女性が感じている肩身の狭い思いをそっくりそのまま男性にさせているだけで、全然「理想の世界」じゃないのでは?

しかも、バービーたちが男社会を追い出していく過程で「(男だから強くなくちゃいけない、とかじゃなくて、)あなたはあなたのままでいいんだよ」みたいなセリフが出てくるんですけどね。それってまさに「自分らしさ、多様性の尊重」につながるところだと思うんですが、それなら物語の最後はもっと多様な性とか多様な生き方を描くべきだと思います。でも最後までバービーランドの中には男と女の2種類しかいなくて(ひとり、アランという中性的なキャラがいましたが)、その2者が戦って女性が権利を取り戻す、という構図。

そもそも、男社会の中で「可愛い格好をして男たちにビールをサーブする」女性のことを「男社会に洗脳されていて自分の能力を発揮するという発想もなくただ男の添え物として生ている女性」として描いているんですけど、それって現実にそういう生き方をしてる女性にすごい失礼じゃないですか?その生き方を自ら選んで楽しんでいる人だっているだろうし、環境的にそういう生き方しか選べないからそうしている人もいるだろうし、それが「洗脳状態」と描かれるのは腑に落ちません。

男女が平等で女性の権利が守られている状態というのは、女性のみんながみんな大統領や医者や裁判官になることではなくて、女性が自ら「選べる」状態のことだと思うのです。大統領になりたい人はなればいいし、ウェイトレスの仕事が向いていると思うならそれをすればいいし、自ら主体的に選べてしかも何を選んでも蔑まれず誇りを持って生きられる状態を作ることが、女性の地位向上、多様性の尊重につながるのではないでしょうか。

共感できたこと:

特別なスキルがないのはダメなこと?

ここまでかなり辛辣に書いてしまったのですが、共感したこともいくつかあります。まずは、主人公のバービーが「私は(大統領でもなく医者でもない)定番のバービーだから、何か特別なことができるわけでもないしこれからどう生きていけばいいのかわからない」と思い悩む場面。これって、就活や転職活動で「特別な能力や経験がないと自分には価値がないのではないか」と焦ってしまう私たちの姿と重なると思いませんか?本当は、目にみえる能力や経験だけでその人の価値が決まるわけではなし、一人ひとり得意不得意があるのに、目にみえるものにばかり注目がいく環境の中で過ごしているとだんだんそういう思考になってきますよね。

女性の生きづらさ

次に、女性として生きていくことのしんどさの描写です。人間界のキャラとして出てくる一人のお母さんの長ゼリフに全て詰まっています。「痩せてなきゃいけない、でも痩せすぎてもダメ」「母親であることを大好きでないといけない、でも子どもの話ばかりしても嫌われる」「いつも男のわがままに付き合わないといけない、でもそれを指摘すると”文句”と言われる」など、いろんな理不尽に耐えながら必死で生きている女性たちの思いが代弁されています。

これと同じような表現をいつか本で読んだことがあって、「男並みにバリバリ働くと”可愛くない”のでダメ、かと言ってほどほどに働くと”やっぱり女は”となるのでダメ。結局何をしても女性が不利になる仕組みになっている」と。確かにそうかもな〜と思った記憶があります。

この映画の中で、女性たちがなんとなく感じているかもしれないモヤモヤ感がはっきりと言葉で表現されているのはよかったです。

ということで、大変長くなりましたがここまで読んでくださった皆さんありがとうございます。

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