オランダは、英語圏以外の国のなかで英語力ランキング1位に君臨しています。
私が留学先としてオランダを選んだのも、これが理由です。英語教育に成功している国は一体どんなふうに英語を教えているのか。その理由を自分の目で確かめてみたかったのです。
実際にオランダに来てみて思うことは、大学院に来るようなレベルの人は私の感覚から言えば「ほぼネイティブ」。英語で淀みなく意思疎通しているし、ネイティブスピーカーともがっつり対等に議論してます(がっつり対等に、は私はまだ無理)。かと思えば大学関係以外で出会う人も英語が堪能です。例えば私が習っていたモダンダンスの先生は、レッスン初日にオランダ語で喋り始めたのですが、数名がポカーンとしているのを見て、「あ、英語のほうがいい?」と言ってすぐ英語に切り替えてくれました。
なんでこんなにみんながみんな、英語ができるの?
私は、オランダの「英語の授業」がスゴイからだと思っていました。
ちがいました。
「気持ち」の問題でした。
オランダ出身のクラスメイトたちに聞いてみると、誰も「学校の授業」で英語を身に付けたとは言いません。その代わり、多くの人が
「オランダは小さい国だし、オランダ語しか喋れないようじゃヤバイからね」
と言います。そういうメンタリティーが根底にあるから、英語習得に対する熱意がハンパではないんです。だから、子どもの映画やアニメも、英語のものをオランダ語字幕で観るというパターンが多いそうです。大人向けの番組も同じで、普通のニュース番組の「オランダ人の記者による」「英語話者への」インタビューでは、記者は当然のように英語でやり取りをしていてそこにオランダ語の字幕がついていました。
このように日頃から英語に触れている結果、英語に対する「抵抗感」というか「異物感」みたいなのが圧倒的に少ないのだと思います。
「英語ができなきゃヤバイという気持ち+子どものころからのexposure=英語力1位」
なのですね。
「授業がスゴイわけではない」と上に書きましたが、これは日本の学校も見習うべきだと思ったことがあります。それは、
目標設定がはっきりしている
ということです。大学進学を目指す生徒が通う高校では、卒業時にC1レベル(英検1級/IELTS7.0/TOEFL95ぐらいのレベル)の英語を身に付けることを目標にしていて、卒業テストに合格して初めて高校卒業が認められます。卒業テストの内容も、まず学校内で文法と作文と会話のテスト→オランダ全土共通のリーディングテスト、というふうに時間と手間がかかるものになっています。
「なんで日本には会話のテストがないの?」と聞かれて「膨大な時間と手間がかかるからかな」と答えた私ですが、教育こそ時間と手間をしっかりかけなきゃいけないことなんですよね、本当は。
卒業時にこれだけの力を身に付けてほしいというはっきりした目標があって、それに向かって生徒も先生も頑張るから、しっかりと英語が身に付くのだと思います。日本だと、学習指導要領になんとなくの目標は載ってますけど、それをどうやって測るのかはっきりしないし、そもそも力がついてなくても卒業できちゃいますよね。
ということで、オランダ人はなぜ英語が上手いのかということについて私の考えたことを書きました。
本年もよろしくお願いいたします。
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