これまで7年間、「授業をする側」でしたが、昨年の9月から「受ける側」に逆戻り。そのためか、こちらでの授業が始まって以来ずっと、単に授業を「受ける」だけでなく、先生がどのように授業をしているかということを観察してきました。これまでに思ったことをまとめてみます。
まず、先生自身が自分のことをオープンに伝えていくことが大切だと感じました。
例えば、すごく厳しそうな文学の先生が、ある時「自分がなぜリアリズムを研究しているか」ということを満面の笑顔で楽しそうに説明し始めたことがありました。難しくて苦手な授業だったけど、先生がそんなに楽しそうに話すなら頑張って聞いてみようかなぁという気持ちになりました。また、ある時は英語教授法の先生が「昔、高校で教えてた時こんなことがあってさぁ~」みたいな話をしていて、「そうなん?私と一緒!」と親近感を覚え、さらに「私もこんなふうに大学で教えてみたいなぁ~」と妄想したりしました。
何と言うか、先生自身が自分のバックグラウンドを明らかにすることによって、「この先生の話は聞くに値するものだ」という必然性を与えられるのではないかと思うのです。
次に思ったことは、先の見通しを明らかにするということ。
ほとんどの授業で、1回目の授業が始まる前の時点で全ての回の授業内容と宿題が知らされました。そのスケジュールに沿って、こんな課題が出るからテーマを考えておこうとか、この週末はちょっとゆっくりできそうとか、予定を立てることができました。将来の見通しが立てられるというのは人間にとってこんなに快適なことなんだな、と実感しました。
毎回の授業の組み立てにも同じことが言えて、「今日はこれこれをします」と最初に示してもらえるととても安心して授業に臨めました。これまでに日本で見学させてもらった授業でも同じことをしている先生がいらっしゃいましたが、私は正直その効果を舐めてました。すみません。
最後に、評価の材料は複数ある方がいいということです。
例えば文学の授業は「記述テスト50%+エッセイ50%」という成績の付け方でした。私はこの授業が苦手だったので、もし記述テスト80%とかだったら成績がとても低かったと思います。いっぽうエッセイは、4000 wordsの超大作で、大変でしたが、ライティングには比較的自信があったので「これでテストをカバーするんだ」という前向きな気持ちで頑張れました。結果的に、そこそこの成績で単位を取ることができました。
このように人間には得意・不得意があるので、成績を付ける際はなるべく多方面から評価ができるようにすることが大切だなと実感しました。それで生徒のモチベーションも変わってくると思います。
このように、いちど学校現場にいたからこそ改めて学べることも多くて、社会人留学もなかなかいいもんだなと思っています。
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