一旦学校現場に出てから、改めて海外の大学(院)で勉強してみたいと考える先生は少なくないと思います。でも、大学院に行くと言っても膨大な数の大学やコースの中から自分に合ったものを選ぶのは大変ですよね。この記事では、勉強したいテーマが「英語教育」の場合に絞り、留学先選びのヒントをまとめてみたいと思います。
ヒント① 検索に使う用語を知っておこう
海外の大学院において「英語教育」や「英語教授法」を表す語としてよく使われているのはTESOL / TEFL / Applied Linguisticsなどです。
ちなみにそれぞれの意味は…
TESOL…Teaching English to Speakers of Other Languages
TEFL…Teaching English as a Foreign Language
Applied Linguistics…応用言語学
イギリスやオーストラリアなどの英語圏では、英語教育に関するコースにはほぼ上記のどれかの語がついています(私の感覚です)。もちろん、英語圏でもこれらの語がついていないものもあるし、北欧などではこういう語に限らず多様な名前がついています。”Language and Education”とか”Language, Globalization and Intercultural Communication”とかです。このようなコースを見つけ出すためには、各大学のウェブサイトで「Language」や「Teaching」などの語で地道に検索をかけていくしかありません。もしくは、”Humanities”(人文学)や”Education”(教育学)あたりに分類されているコースをひとつひとつチェックしていくと見つかります。
ヒント② 行きたい国を決めよう
どこで暮らしてどんな環境で勉強するかということはとても重要です。私の場合は、英語教育に成功している国(英語が母語ではないけど国民の英語力が高い国)、そしてヨーロッパに行きたかったので、北欧4国とオランダに絞りました。人によっては、英語は本場イギリスで勉強したいとか、とりあえずアメリカ西海岸に住んでみたいとか、いろいろな希望があると思います。せっかく時間とお金をかけて行くのだから、行き先は自分のフィーリングに従って決めて良いと思います。
国ごとの大まかな特徴はこちらのページにまとめてみましたのでご覧ください。
ヒント③ 各国の留学ポータルサイトを使ってみよう
行きたい国が決まったら、”Study in ○○←国名”のサイトで自分の興味に合いそうなコースをピックアップしていきます。例えばフィンランドの場合、Study in FinlandにアクセスしてAdmission→Choose your programme→Studyinfo→Master’s degreeと進みます。そこからさらに修士課程一覧(Master’s degree)に進むと、勉強する分野(Subject)ごとにフィルターをかけられるようになっています。ここで英語教育に関係ありそうな”Education, Psychology, and other Behavioural Sciences”をクリックすると…その分野に関連するコースがズラーっと出てきます。あとは、各コースのページで出願条件(Requirement / Eligibility)、必要な英語力(English proficiency / Language requirement)、出願書類(Application document)、学費(Tuition fee)、出願締め切り(Deadline)などが確認できます。
ヒント④ コースの詳細を確認!【重要】
受けてみたいコースをいくつかに絞ったら、その大学(コース)の公式ページを見てみましょう。そしてコースの詳細(Course structure)をチェックしてください。同じ「英語教育」っぽい名前がついていても、内容は大学によって大幅に違います。試しにイギリスのエクセター大学とコヴェントリー大学を比較してみましょう。どちらもコース名は同じような感じですが…内容は全然違います!
Exeter大学の場合 (コース名 ”Teaching English to Speakers of Other Languages”)
コース内容
Principles of Language Learning / Language Awareness for TESOL / Preparing for TESOL Inquiry and Dissertation(いわゆる卒論)→ここまでが必修。ざっくりした科目名ですが、全体的に第二言語習得の理論に焦点を当てるような感じです。
他に、Teaching English to Young Learners とかThe Arts and Educational FuturesとかEducational Technology in Practiceなど、20の選択科目の中から各自取りたいものを取るようです。こっちのオプションコースの方はオリジナルで面白そうなのが多いです。
Coventry大学の場合(コース名 ”English Language Teaching and Applied Linguistics”)
コース内容
1学期:Theories, Approaches and Methods of Language Learning / Developing Language Teaching Materials / Analysing Written and Spoken Discourse
2学期:Grammar and Phonology / Teaching English in Higher Education / Computer Assisted Language Learning
3学期:卒論
上記は全部必修の科目で、これ以外に「社会言語学」や「文学を通して言語を教える」「ビジネスイングリッシュ」などの選択科目を各学期にひとつ取ります。全体的に英語に関するトピックを広く浅く学ぶ感じですね。
同じような名前のコースでも内容は全然違います!入ってから後悔することがないように細かいところまでチェックしてください!
そういえば、フィンランドやオランダでは、卒業のための必修単位として「インターンシップ」を課している大学もあります。私はそこに魅力を感じて最終的にオランダを第一志望にしました。海外で働く経験はなかなかできることではないし貴重ですよね。
ヒント⑤ 生活環境を比較
治安、生活費、住居環境(寮があるのか自分で家を探すのか)、町の特色、天候などなど。自分にとって優先順位の高いキーワードで、日本語でも英語でもいろいろ検索をかけてみてください。
ヒント⑥ランキングも見てみよう
日本の大学でも偏差値に基づいた大学ランキングがあるように、海外の大学にも難易度ランキングがあります。ランキングが高い大学を選ぶと、ネームバリューや周りの学生の質など様々なメリットがある一方、学費が高いことやレベルが高すぎて授業についていけない(かもしれない)という不安があります。反対にランキングがそこまで高くない大学だと、学費がリーズナブル、奨学金が手に入りやすいなどのメリットがあります。
ただ、全体として言えるのは、外国では日本と違って大学がほぼすべて国立で大学進学率も日本ほど高くないため、ランキングがどうであれ教育のクオリティーはある程度確保されているようです。
ヒント⑦「この先生のもとで勉強したい」というスタンス
ここまでいろいろと書きましたが、大学院で勉強するなら、いちばんの理想は大学やコースを選ぶのではなく「先生」を選ぶことだと思います。この先生のもとで勉強したい!という発想で、出願する時点でその先生の論文を何本も読み込んでいるとか。出願前に直接コンタクトを取って、その先生からOKをもらうというステップを経る人もいます。と言うか、研究者の先輩や大学の恩師には「それは必須やろ!?」と言われました。私はそこまでできなかったけど一応合格をもらえたので、研究分野にもよるのかもしれません。
以上、膨大な数の大学やコースをリサーチしてわかった「留学先の調べ方のコツ」をまとめました。ありがとうございました。
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